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こんにゃくで砂払い

 こんにゃくを食べる習慣が普及するのは江戸時代。特に、あのプルン、プルルンとしたつかまえるのも難しいこんにゃくを好んだのが江戸っ子。
 よく「おなかの砂払い」とか「おなかのすす払い」といって定期的に食べました。ここの砂とかすすというのは「体の中にためておいてはいけないもの」で、つまりは不純物。
 現代的にいうと、コレステロールや中性脂肪、発がん性のある有害物質などのことですから、一刻も早く排除した方がいいのはいうまでもありません。

 こんにゃくの95%以上が水分、残りは水溶性グルコマンナンという食物繊維。この食物繊維が腸内で水分を吸収して膨らみ、腸に刺激を与えることで、有害物が早く排出されるわけです。こんにゃくには、コレステロールや血圧の値を下げる作用もあり、体にとってはいいことばかりの食べ物といってよいでしょう。

 不思議なことに、現代女性からダイエット食の一つとして好まれているこんにゃくが江戸時代の若い娘たちの間でも人気だったことがよく知られています。
 「芝居、こんにゃく、イモ、カボチャ」。これが江戸の町娘たちの好物でした。今でいったらアイドルのコンサートに近い芝居と並んでこんにゃくの名前が挙げられています。
 そのころの最もポピュラーなこんにゃくの食べ方は田楽。串に刺したこんにゃくを鍋で煮ながら売り歩く屋台もあり、スナックとして人気を集めたのです。味付けはみそで、なかなかうまかったようで、この移動式の屋台がおでん屋のルーツとなります。

 かの俳聖の松尾芭蕉もこんにゃくが大好きでした。
 蒟蒻(こんにゃく)の刺身もすこし梅の花
 梅の花見に行った折の弁当なのでしょうか。このこんにゃく料理の味付けは酢みそで、これも当時流行した食べ方でした。

食文化史研究家●永山久夫
情報提供:日本農業新聞

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